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大混乱のアメリカ、次なる一手「トランプ大統領の解任」を模索

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.01.07 22:01 最終更新日:2021.01.07 22:02

大混乱のアメリカ、次なる一手「トランプ大統領の解任」を模索

写真:Abaca/アフロ

 

 米英戦争以来、200年ぶりに攻撃を受けた米国議会。現職の大統領が群衆を煽ったことにショックと怒りが広がり、大統領を即日免職しろという声が強まっている。

 

 1月6日朝、ワシントンDCの米国議会がバイデン次期大統領を公式認定するのに合わせ、トランプ支持者たちが集結。登壇したトランプ大統領は「自分が選挙に勝っていた」とかねてからの主張を繰り返し、大通りを歩いて議会へ向かうよう、群衆へ呼びかけた。

 

 

 一部が武装していた群衆は、その後、議会のバリケードを突破し、窓を破るなどして議事堂に乱入。議会は一時中断、死者も出た。群衆は議員の部屋や議事堂に侵入して記念撮影をしたり、備品を持ち出したり、議事堂の外でメディアの機材を破壊するなど混乱は数時間続いた。議事堂内では催涙ガスが使用され、ビニールのマスクをかぶって避難する議員や物陰で姿勢を低くする議員たちの写真が世界中に配信された。

 

 大統領自身は州兵の派遣に反対したため、ペンス副大統領が派遣を決定したと報道されている。大統領は群衆に対し「平和的に」とのコメントを出したが、「君たちの気持ちはわかる」「君たちは特別だ」と同情的だったため、暴徒に対してすぐに制止しなかったことが強く批判されている。

 

 今回の件は民主主義への攻撃であると、カナダ、ニュージーランド、イギリス、スペイン、フランス、インド、オーストラリア、EUなど各国首脳らがすぐに懸念を表明した。アップルやシティグループ、JPモルガン・チェースCEOなど、産業界や大学教授らの知識人からも非難の声が相次いだ。

 

 こうしたなか、トランプ大統領を即座に解任する手段について、党派を超えた話し合いが出てきている。その手法は2種類あり、以前もおこなわれた弾劾裁判か、合衆国憲法修正第25条の行使である。弾劾裁判については、すでに民主党議員が準備を始めたと表明している。

 

 憲法修正第25条は、ケネディ大統領暗殺事件の後に作られたもので、その第4項に、大統領の職務遂行が不可能と判断された場合、副大統領がすぐに代行できると規定されている。要は、トランプ大統領を即時罷免してペンス副大統領に代行してもらおうというもので、こちらも民主党が行動を始めている。だが、まずは大統領の職務遂行が不可能という判断を各機関の長に判断してもらわねばならず、もし大統領が反発した場合、さらに手続きを踏んだ上で議会の3分の2の賛成を得る必要がある。

 

 これまでトランプ大統領に従順だったペンス副大統領だが、バイデン次期大統領を正式認定したことで蜜月が終わったとされている。ホワイトハウスのスタッフには辞意を表明するものが数名出ており、大統領の立場は苦しくなるばかりだ。

 

 そして、ついに大統領は、明け方になって「きちんと政権を受け渡す」との声明を出した。すでにツイッターとフェイスブックは臨時的にアカウントが凍結されており、本人の正確な意向はわからないが、「選挙の結果には納得していない」とも表明している。

 

 憲法修正第25条4項は、これまで実施されたことはなく、任期終了間際に2度目の弾劾を受けた大統領もいない。 任期はあと14日しかないのが、それすら危険だと思われているのだ。アメリカは前代未聞の事態に追い込まれている。 (取材・文/白戸京子)

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