『何曜日に生まれたの』飯豊まりえのトラウマシーンがスケールダウン…どうした野島伸司!?【ネタバレあり】

「どうした野島伸司!?」というのが、先週放送の第4話まで観た率直な感想だ。

　飯豊まりえがゴールデン・プライム帯の連続ドラマ初主演を務める『何曜日に生まれたの』（テレビ朝日系）。

『101回目のプロポーズ』（1991年／フジテレビ系）、『ひとつ屋根の下』（1993年／フジテレビ系）、『高校教師』（1993年／TBS系）、『未成年』（1995年／TBS系）など、1990年代に大ヒットドラマを量産した脚本家・野島伸司が、地上波連ドラで5年ぶりに手がけるオリジナルストーリーである。

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　主人公は、高校時代に同級生男子と乗っていたバイクで悲惨な事故に遭い、それ以降の10年間、引きこもり生活を送っていた27歳の黒目すい（飯豊）。

　売れない漫画家の父（陣内孝則）が担当編集者（シシド・カフカ）から、娘を題材にした漫画の作画担当の話を持ちかけられる。すいは、大ベストセラー作家・公文竜炎（溝端淳平）が原作を担当するその恋愛漫画のモデルになることを引き受けた。

　実は、バイク事故で同乗していた男子は恋人ではなく、すいにはほかに好きな男子がいたのだが、そんな片想い相手をはじめとした高校時代の友人たちと再会して物語は進んでいく。

■「野島伸司脚本」という先入観を取っ払っても…

　第4話まで放送されているので物語は中盤まで来ているはずだが、今のところ、このドラマからグイグイ惹き込まれるようなグリップ力は感じない。

　決してつまらないわけではないし、観ればそこそこおもしろいとは感じるのだが、正直、次回が気になって早く観たいというような強い衝動には駆られない。

　筆者は1990年代の野島作品のファンで、特に『101回目のプロポーズ』や『未成年』は、毎週毎週食い入るように観ていたため、野島作品に対する期待値が高すぎるのかもしれない。好きすぎるあまり、「どうした野島伸司!?」というガッカリ感が強いのだろう。

　だが、「野島伸司脚本」という先入観を取っ払って、自身の思い入れを抜きにしてフラットな視点でこの作品を評するとしても、いまいち突き抜けていないという印象は否めない。

　第1話の段階で10年前に死んでいたように描かれたバイク事故の男子は、第2話で生きていることが明かされた。すいの前にバイクに乗って颯爽と登場し、事故の後遺症で足を引きずってはいるものの、フットサルもできている。

　劇中の登場人物たちからすれば彼の命が助かってよかったのだろうが、作品を観ている側からすれば、悲劇性が薄れるというもの。すいはいまだに事故がトラウマとなって過呼吸で倒れるなど苦しんでいるが、明らかにインパクトがスケールダウンした。

　10年前の事故はバイクに細工されて仕組まれたもので、今夜放送の第5話でその真相が明らかになるようだが、事故に遭った2人がすでに笑顔で再会しているので、ぶっちゃけ犯人が誰かなんてたいして気にならないのだ。

　往年の野島作品は主要キャラがバンバン死んでいたし、強姦などの目をそむけたくなるセンセーショナルな展開も目白押しだった。

　もちろん、「登場人物が命を落とすショッキングなシーンがあればおもしろくなる」なんて単純な話ではないが、物語の最重要な出来事のバイク事故で2人とも無事だったとなると、肩透かしを食った気分にもなる。

■終盤で想像の斜め上をいくどんでん返しを期待

　本作は、公式サイトで《ラブストーリーか、ミステリーか、人間ドラマか、社会派か。先が読めない予測不能の衝撃作》と謳われている。

　確かに普通のラブストーリーではないし、現時点でもこの作品がどういうテーマのドラマなのかいまいちわからず、最終話でどんな結末になるのかは読めない。

　オーソドックスな恋愛ものなら、ヒロインが誰と引っつくのか、幸せなラストを迎えるのか、別れて悲しいラストを迎えるのか……という、ある程度の想定はできるが、この話がどのような着地をするのかまだわからないのだ。

　第4話では、主人公・すい、片想いしていた男子、バイク事故の男子で三角関係のようになっている。

　けれど、片想いしていた男子は別の同級生の女子と結婚しているので、すいとその彼が愛し合う展開になったとしたら不倫になってしまう。そのため、恋愛ドラマとしてのさわやかなハッピーエンドはなさそうである。

　先述したとおり、公式が「予測不能の衝撃作」と思いっきり不穏な煽り方をしているので、今後、想像の斜め上をいくどんでん返しがあるかもしれない。個人的には、ここまで見せられてきた物語が一気に白から黒へ反転するような、大仕掛けがあることを期待している。

　――今夜放送の第5話では、ベストセラー作家・公文がすいを “好き避け” するようなシーンもあるようなので、すいと公文の恋愛展開が描かれる可能性もゼロではない。いずれにしても、そろそろ「どうした野島伸司!?」というネガティブな感想を払拭してもらいたいものだ。

( SmartFLASH )