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渡辺真起子「場に馴染みきらない感じ、それが私の『枠』なのかも」

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.07.24 20:00 最終更新日:2021.07.24 20:00

渡辺真起子「場に馴染みきらない感じ、それが私の『枠』なのかも」

東京・江戸川橋「フジ コミュニケーション」にて

 

「『フジ コミュニケーション』って料理店とは思えない店名。私はコミュニケーションが好きで俳優をやっている部分もあるし、店名や若い人が頑張って起業したという背景の物語も含めて、ここが好きなんです」

 

 風変わりな店名の台湾料理店をこう紹介する渡辺真起子。カンヌ国際映画祭など、海外でも高く評価された『M/OTHER』(1999年、諏訪敦彦監督)、『殯の森』(2007年、河瀬直美監督)、『愛のむきだし』(2009年、園子温監督)などに起用されている「邦画に欠かせない顔」だ。

 

 

 彼女のキャリアはモデルからスタートしている。19歳でファッション誌「エル・ジャポン」のモデルを務め、話題となった。

 

「高校をやめた後、スカウトされ、スタートから恵まれていたと思います。

 

『エル・ジャポン』の起用理由は『ブリジット・バルドーのように』というテーマの特集でモデルを探したときに、胸の大きい日本人がいなかったらしいんです。

 

 当時のモデルにしては、私はまあまあ胸があったので、選ばれたらしい(笑)」

 

 注目を浴びると、彼女への評価が一変した。

 

「転機はやっぱり『エル・ジャポン』ですね。一晩で自分を見る目が変わるって経験をしました。夜にクラブとかに遊びに行くと、それまでは冷たい態度だったスタイリストやヘアメイクが『こないだの雑誌見たよ』とか急に笑顔で親しげに話しかけてくるようになったんです。

 

『そんなに親しかったっけ?』って思いました。私自身は何者でもない若者だったので、そうやって結果を提示していかないと、評価はけっして変わらないのだと思い知りました」

 

 モデルとしての評価を手に入れた後、渡米して俳優への道を探り始めた。「小学4年生のころから将来の夢は俳優」だったからだ。

 

「アメリカ映画を観て育ったのだから、俳優になるにはアメリカに行けばよいと思ったんです。単純ですよね(笑)。ニューヨークでモデルエージェントや演劇学校をまわったのですが、東洋人の枠自体も少ない時代で難しかったです。

 

 ただ、あるエージェントに『アメリカに数年いなさい。1年に1回はよいオファーを獲得できると思うよ。渡辺真起子の需要はそれほど多くはないが、確実に渡辺真起子の枠はある』と言われたんです」

 

 それを待つガッツはなく、帰国。だが、日本でエージェントの言葉が現実になる。雑誌「CUTiE」の表紙モデル起用の話がきた。

 

「アメリカで現地の熱にふれ、小さな冒険をして帰ってきたことで、仕事がうまくまわり始めた気もします。

 

『CUTiE』はサブカルから生まれた女性ファッション誌。お世話になった先輩クリエイターもデザイナーも、私のようなモデルも、たまたまそのタイミングで東京という大きな都市に居合わせただけという気がします。そこでいい出会いがあったし、モデルとして当時の文化の中に身を置くことで、いろいろ吸収できました」

 

 さらに、念願の俳優としてのオファーも続いた。オールニューヨークロケのドラマ『バナナチップスラブ』(1991年、フジテレビ系)に出演。1990年代中盤からは、前記した映画監督たちの作品に起用された。

 

「若いころは自覚的にインディペンデント系の作品に飛び込みました。大きな映画では自分がすべてを把握できない。気が小さいから、誰がどこで何をしているかわからないと不安なんです。関わる全員の役割が見える、理解できる場所で働きたいという気持ちが強かったんですね。

 

 撮影現場でも、カンヌ映画祭でも、役者の自分もすべてが見えるのが理想。自分の関わる映画に関して、すべて知りたい、学びたいという気持ちが強かった。演技がうまくなりたいとか、きれいに撮られたいという気持ちより、映画に関わることを全部知りたいし、共有したい。それができる現場を選んでました」

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