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日本バレー界の至宝・石川祐希、セリエA優勝&MVP獲得でついに超えるレジェンド「中田英寿」の壁!

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2024.11.26 17:42 最終更新日:2024.11.26 17:42

日本バレー界の至宝・石川祐希、セリエA優勝&MVP獲得でついに超えるレジェンド「中田英寿」の壁!

能力はイタリアでもトップクラスと評価される石川祐希

 

「石川はバレーボールで起こり得るあらゆるシチュエーションに対し、臨機応変に対応できる選手。スパイクを狙ったところに決める能力はもちろん、レセプション(サーブに対するレシーブ)もうまい。

 

 チームには身長2メートル超の選手も少なくないが、192センチの石川はスピードとジャンプ力で高さを補っている。加入したばかりのころは、プレーに安定性を欠いていたが、徐々にチーム戦術にフィットし、本来の力を発揮し始めている」

 

 

 イタリアの動画メディア「SPORT&INCONTRI」のジュゼッペ・マルティーニ記者は、バレーボールの世界最高峰リーグ、イタリア・セリエAの強豪シル・スーザ・ヴィム・ペルージャ(以下ペルージャ)でプレーする石川祐希(28)について、11月16日のグロッタツォリーナ戦後そう評価した。

 

 そのグロッタツォリーナ戦で、石川はチームトップの18得点をマークし、新天地ペルージャで早くもシーズン3度めのMVP(マンオブザマッチ)を獲得。チームも開幕8連勝で首位をキープした。

 

 中央大学1年時に短期留学したモデナを皮切りに、ラティーナ、シエナ、パドヴァ、ミラノと渡り歩き、イタリアで約10年間過ごしてきた石川。だが、これまでタイトルに恵まれず、「セリエA優勝、シーズンMVP」を目標に掲げてきた石川にとって、昨季セリエAを含む4冠を達成した強豪への移籍は、目標達成への大きな一歩といえる。

 

 今季のペルージャは、欧州チャンピオンズリーグ(以下CL)初制覇も視野に入れており、日本代表のエース・石川といえども、期待に応えることは簡単ではない。また、ペルージャにはイタリア代表の絶対的な司令塔でセッターのシモーネ・ジャンネッリのほか、ウクライナ代表のオレフ・プロトニツキやポーランド代表のカミル・セメニュクら、世界的なスター選手が揃っており、石川もスタメンが約束されているわけではない。

 

 地元紙「コリエレ・デラ・ウンブリア」の記者で、試合中継では解説も務めるディエゴ・アンセルミ氏は、石川の現状についてこう話す。

 

「石川は(昨季まで所属していた)ミラノ時代のようにプレーできていない。だが、チームが変わったことを考えれば当然のこと。先発を外れることもあるが、それはセリエAと並行してCLも戦いながら選手を起用しているから。

 

 プロトニツキやセメニュクには高さやパワーで劣っていても、石川には成長する余白がある。イタリア語も上達し、フレンドリーで、チームの人気者の一人になっている」

 

 石川はペルージャに移籍したことでタイトル奪取の好機到来といえるが、この状況はMLBで今季エンゼルスからドジャースへ移籍した大谷翔平のシチュエーションによく似ている。 

 

 大谷はそれまでチームタイトルとは無縁だったが、強豪ドジャースに移籍し、ムーキー・ベッツやフレディ・フリーマンらスター選手と共闘することで悲願の「ワールドシリーズ優勝」を遂げた。石川も大谷に続き、チャンスを生かせるか注目だ。

 

 イタリア最大の発行部数を誇るスポーツ紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」のアントネッロ・メンコニ記者は、現時点で石川の評価を下すのは時期尚早だと言う。

 

「石川はブラボー。でも、今季のペルージャはすべてのタイトルを狙っているわけで、真価が問われるのはタイトルがかかった大事な場面で仕事ができるかだ。石川の課題はプレー(の出来)に波があることと、サーブに改善の余地があること。ミラノ時代はよくサービスエースを決めていたが、最近はミスが目立っている」

 

 ペルージャといえば、かつてサッカー元日本代表の中田英寿が活躍したことでも知られる地。石川が、中田のような人気や地位を確立できるかも気になるところ。

 

「それは残念ながらノーだ。石川がいくら人気といっても、イタリアではバレーボールで有名になるのは難しい。なぜならサッカーの国だからね。現在、2部か3部が当たり前の(サッカークラブの)ペルージャにとって、セリエAで戦っていた中田のいた時代は黄金期で、そのインパクトは絶大だった」(同前)

 

 ホームでの石川は、毎試合3000人以上のサポーターの声援を受けながらプレーしている。端正なルックスで、日本からツアーでやってくる女性ファンも少なくなく、会場の盛り上げにひと役買っている。

 

 石川自身は「(味方と呼吸が合うまで)多少時間はかかる。大きな問題はないし、今は声を掛け合いながらやっています。サーブはあまり感覚がよくなかったけど、少しずつよくなってきていると思う」と、ここまでのプレーに手応えを感じている様子だ。

 

 ペルージャで順調なスタートを切った石川は、タイトルを奪取し、“レジェンド” の壁を打ち破ることができるかーー。

 

取材&文・栗原正夫

( 週刊FLASH 2024年12月10日号 )

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