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東海大相模を完封&自ら満塁弾!「宇都宮学園」エースが振り返る“ジャイアントキリング”…甲子園の“番狂わせ”ドラマ<関東編>

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.08.11 06:00 最終更新日:2022.08.11 06:00

東海大相模を完封&自ら満塁弾!「宇都宮学園」エースが振り返る“ジャイアントキリング”…甲子園の“番狂わせ”ドラマ<関東編>

<栃木>宇都宮学園 10−0 東海大相模・神奈川/1977年1回戦(写真・朝日新聞)

 

 その大会のときにだけ、鮮烈に輝く高校。念願の初勝利のあと、今では「強豪」に名を連ねる高校。甲子園では、しばしばそんな “ジャイアントキリング” が起こる。あなたの故郷の奇跡を追体験しよう。

 

◎<栃木>宇都宮学園 10−0 東海大相模・神奈川/1977年1回戦

 

 4年連続出場の強豪・東海大相模を10−0で破る番狂わせを起こしたのが1977年の宇都宮学園(現・文星芸大附属)。エースで四番だった見形仁一さんは、被安打4で完封し、さらに自ら満塁ホームランまで放ってみせた。

 

 専修大学でコーチを務め、2004年から2011年までは石巻専修大学の監督として2度の全日本大学野球選手権出場に導いた見形さんは「甲子園のマウンドは、とにかく投げやすかった」と振り返る。

 

「栃木の田舎の高校ですから、当時の僕らのグラウンドは、マウンドのプレートが木でね。その木が削れちゃって、足首が痛くなるぐらいのマウンドで。それが甲子園だと、プレートがゴム製の二段式なんですよ。もう足にバネがついたような感じで、気持ち的にノっていけましたよね」

 

 そして、自身の満塁ホームランで試合を決めた。

 

「あの場面は完全に、『これ打てるな』とは思いましたね。自分は四番でしたけど、三番打者が、満塁からの四球で出塁したんです。押し出しで1点取られたピッチャーの心理としては、初球は絶対ストライクゾーンに来るだろうと。そう配球を読んでいたら、狙いどおりの真ん中高め。『よっしゃ来た!』と振り抜いた結果が、あの一発でした」

 

◎<茨城>水戸短大附 7−4 智弁和歌山・和歌山/1996年1回戦

 

 今大会が甲子園初出場となった水戸短大附。対する智弁和歌山は、同年春のセンバツで712球を投げ抜いて同校を準優勝に導いた2年生エースの高塚信幸(後に近鉄)が、肩の不調で登板できなかった。3回に三番細谷の2点二塁打などで一挙5点を挙げ、試合を決めた。エースを欠いた智弁和歌山の3投手に、1本塁打を含む12安打を浴びせた水戸短大附が、甲子園初戦で大金星をゲットした。

 

◎<群馬>前橋商 2−1 浦和学院・埼玉/2007年2回戦

 

 人気アニメ『タッチ』の原作者・あだち充さんの母校でありながら、甲子園の応援で同作のテーマ曲を封印してきた前橋商。理由は諸説あるが、4度めの夏でついに演奏を解禁し、初戦に臨んだ。対戦相手は、通算58本塁打でプロ注目の赤坂和幸(後に中日)を擁する強力打線の浦和学院だったが、前橋商のエース・佐々木が90km/ h台のスローカーブを有効に使い、8安打1失点で完投。隣県対決を制した。

 

◎<埼玉>浦和市立 6−2 常総学院・茨城/1988年2回戦

 

 前年夏の準優勝校に、この大会が春夏通じて唯一の出場となる市立高校が挑んだ一戦。予選ではノーシードから勝ち上がってきた同校のチーム打率2割5分4厘は、同大会出場49校中最低。対する常総学院は1回戦で小浜(長崎)相手に3本塁打23安打、19−1で圧勝したほどの強力打線だったが、浦和市立は1回戦の佐賀商戦で見せたミート打法で撃破。ベスト4まで進む快進撃を見せた。

 

◎<千葉>東海大浦安 2−1 横浜・神奈川/2000年準々決勝

 

 ベスト4進出を懸けた関東対決。横浜のエース小沢は、同校を春夏連覇に導いた松坂大輔(後に西武など)が3年生のときの1年生。対する東海大浦安のピッチャー浜名は、エースの井上が左太腿の筋肉断裂で戦線離脱したことで背番号「4」ながら急遽登板した。そんな両投手の投げ合いを制したのは浜名。鋭いシュートを武器に準優勝に貢献した、2000年夏の甲子園をもっとも沸かせた投手の一人だ。

 

◎<東京>国学院久我山 7−5 前橋育英・群馬/2019年1回戦

 

 28年ぶりの夏出場となった国学院久我山は、これまで春夏計5度の大会ではすべて初戦敗退。悲願の1勝を目指す初戦の相手は、2013年の初出場で優勝した前橋育英。群馬県内の公式戦では前年夏から負けなしで、同県勢初の4年連続出場を果たした強豪校だ。試合は一進一退の攻防となったが、2点を追う7回2死から、5連続安打で3点を奪って逆転。先発・高下も立ち直って逃げ切った。

 

◎<神奈川>日大藤沢 4−3 観音寺中央・香川/1995年2回戦

 

 夏では初出場同士の一戦だが、観音寺中央は同年のセンバツで、初出場にして初優勝を成し遂げて勢いに乗り、春夏連覇の期待も高かった。強打者揃いの観音寺中央に対して、一方の日大藤沢の左腕・神崎は、14安打を浴びながらも終始強気のピッチングを崩さず、決定打を許さなかった。そして延長11回、自らのセカンドゴロがサヨナラ打となり、夏の甲子園初勝利を掴んだ。

 

 

 都道府県別に夏の甲子園の “番狂わせ試合” を選んでくれたのは、『高校野球100年史』(東京堂出版)の著書を持つ野球史研究家・森岡浩氏(61)だ。

 

「私が考えた選考基準は、(1)3回戦までで(2)過去50年以内の試合ということです。準決勝や決勝に勝ち進んでいる高校は十分に強くて、すでに “番狂わせ” とはいえませんからね。ですが、たとえば京都や高知などは、甲子園に出場できる高校が限られているうえに、たまに出てくる公立高校は、すぐ負けてしまうことが多いんです。そういった都道府県は、泣く泣く(1)と(2)、どちらかの基準を緩めました」

 

 森岡氏の忘れられない “どんでん返し” 試合は、宇都宮学園×東海大相模だそう。異論は大歓迎。あなたの一番は?

 

( 週刊FLASH 2022年8月23日・30日合併号 )

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