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【独自】「国民民主党は約束を破った」衆院選・岡山1区候補者が暴露する“公認トラブル”「私は票の掘り起こしに利用された」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.11.26 06:00 最終更新日:2024.11.26 16:29

【独自】「国民民主党は約束を破った」衆院選・岡山1区候補者が暴露する“公認トラブル”「私は票の掘り起こしに利用された」

都内バーでの密会の翌日10月31日に多くの報道陣に対して“ぶらさがり取材”に応じた玉木氏。「103万円の壁」解消を掲げて、注目を集めている(写真・長谷川 新)

 

 10月27日の衆院選で躍進を遂げた国民民主党。全国で42人の候補者を擁立し28議席を獲得した。

 

 一方で、14人が落選し涙を飲んだ。そのうちの一人だったのが、岡山1区から立候補した佐々木雄司氏(54)だ。佐々木氏は小選挙区だけでなく比例での重複立候補だったが、ともに議席には届かなかった。だが、この佐々木氏をめぐってあるトラブルが起こっているという。国民民主党関係者はこう話す。

 

「選挙後、佐々木氏と党の間で『立候補者に関しての約束が違う』と大喧嘩になっているというのです。選挙後1か月近く経った今でも解決していません。党内でも問題になりつつありますが、一体、何があったのか……」

 

 

 このトラブルの真相を聞くべく岡山に本誌が向かうと、佐々木氏はトラブルの事実を認め、「党から事前に聞いていた内容と、あまりに話が違う」と怒りを込めて“大躍進”の裏側を赤裸々に暴露した。佐々木氏の言い分はこうだ。

 

「私は党に騙されて立候補させられたのです。小選挙区では勝てないことはわかっていましたから、比例の票を岡山で掘り起こすために利用されただけでした。

 

 当初、党からは『比例中国ブロックの国民民主の候補者は佐々木さん一人だ』と言われていたんです。『中国ブロックで比例の議席を獲得できれば佐々木さんの議席になるから、岡山から立候補してほしい』と。その約束を反故にされたのです」

 

 実際、国民民主は中国ブロックの比例代表で1議席を獲得した。だが、当選したのは佐々木氏ではなく広島2区から立候補した福田玄氏だった。

 

 もともと佐々木氏は岡山県赤磐市の市会議員を3期務めてきた。その後、2023年の統一地方選で岡山県議会選挙に挑戦したものの自民党の候補に敗れ、今後どうするかを思案していたという。

 

「そんな時、2023年4月に国民民主関係者から『次の衆院選に出て欲しい』と言われたのです。党の岡山県連の人間が、先に言った約束をしてくれて、『現在の党の地力なら、比例で一人は当選できるはず。佐々木さんは立候補さえしてくれれば、当選は間違いない』と言われました。ついに衆院議員になることができると思い、私は要請を受けることにしたのです」

 

 だが、この「中国ブロックは佐々木氏しか立てない」という約束は、早い段階から雲行きが怪しくなった。2023年12月に広島に一人立てるといわれ、これに佐々木氏が反発すると、いったんその話は流れた。さらに翌年の2月に山口に立てるといわれ、「佐々木さん一人だけでは国民民主党の票を掘り起こせない」との説得に渋々応じ、これを容認した。

 

 党の手のひら返しはまだ続いた。党はもう一度、広島での候補者擁立に動いたのだ。

 

「今年7月になって、昨年12月とは別の人物を擁立すると言い出したのです。これには『いや、それは約束が違います。私は降ります』と言いました。私が取りやめを伝えた党の川合孝典幹事長代行は『まだ確定ではない。検討しなおす』とお茶を濁していました。そしてそれ以降連絡はなかった。私は当然、当初の約束が守られたものだと思ったのです。

 

 そうこうするうちに、いよいよ解散濃厚となり、10月4日から選挙態勢に入っていきました。事務所も借りて『さあ、これから!』と思っていたのですが……」

 

 事件は起こった。流れたとばかり思っていた広島での候補者の存在を佐々木さんが知ったのは、すでに出馬のための供託金を支払った後だった。

 

「10月9日、Yahoo!ニュースで、“国民民主党が広島2区に候補者を擁立する”というニュースを見て、初めてその事実を知ったんです。もう引き返せない状態にありました。これは党に騙されたと思いました」

 

 この“裏切り”は、単に「候補者を黙って立てられた」というだけの話ではないという。

 

 結果的に、国民民主党の中国ブロックで立候補したのは佐々木氏、広島2区に立った福田玄氏、そして山口1区に立った野田陽志(きよし)氏の3人だ。比例で議席を獲得した場合に当選するのは、小選挙区で当選した候補者にどれだけ近づけたかを示す「惜敗率」が高かった候補者。しかし、特に岡山1区と広島2区では、事情が大きく異なっていたという。佐々木氏が続ける。

 

「広島2区には立憲民主党の候補者がおらず、事実上、自民候補と福田氏の一騎打ち。しかも、同区では立憲は国民民主の応援に回ることが決まっていました。当然、福田氏は自民候補に大きく迫るわけですから、惜敗率も高くなる。

 

 一方、私が出た岡山1区は、そもそも自民の大物議員・逢沢一郎氏の地元ですから、選挙区ではまず勝ち目がありません。しかも立憲の候補者もおり、票を食い合っている状態。これでは、私の惜敗率が広島2区を上回る可能性はほとんどありませんでした」

 

 佐々木氏が当選できる可能性は、選挙戦に突入する前にほぼ消滅していたと言ってよかった。この状況を知った佐々木氏は茫然としたという。

 

「私は何のために戦っているのかわからなくなりました。どれだけ岡山で頑張っても小選挙区では私が当選できる可能性はなく、残されたのは、国民民主のためにどれだけ票を掘り起こせるかだけでした。『そんなことをするために立候補したのではない』『当初の話とは全く違うじゃないか』と、激しく怒りを感じながら選挙戦を戦わなければいけなかったのです」

 

 実際、党の熱量も低かったという。玉木雄一郎代表は選挙中に岡山に応援に訪れたが、演説に立ったのはわずか10分ほど。しかも遅刻してきたという。あまりのやる気のなさに、佐々木氏の熱意は削がれた。

 

 結果、佐々木氏は小選挙区で3位。中国ブロックで獲得した国民民主の比例区の議席1議席は、惜敗率により広島2区の福田氏に譲り渡した。

 

 失意に暮れる佐々木氏は、選挙後、更なるトラブルに見舞われているという。

 

「出馬時に党に預けた供託金300万円が、党から返還されていないのです。供託金は一定の票数を獲得すれば返還される仕組みになっており、私も返還の対象です。

 

 しかし、党は『ポスター代など、佐々木さんの選挙に使ったお金が340万円ある。そのうちの一部は、佐々木さんに返済して頂くことになる。この佐々木さんの返済に、預かった300万円を充てるので、供託金は返還できない』というのです。しかし、そもそも供託金は返還されるべきものですから、まずは返してくれと。そのうえで、選挙資金はきっちり清算しますと言っているのです。それでも党は聞く耳を持ってくれません。

 

 さらに、国民民主の取り決めで選挙終了をもって支部事務所は消滅することになっているそうです。それを根拠に、10月28日以降は支部事務所は存在していないことになるらしく、毎月15日に振り込まれる支部事務所経費も11月には振り込まれず、11月度の家賃や経費は私の持ち出しになるとのことでした。しかし、10月に発生した人件費や電気代などの経費の支払いが11月になる場合もあり、岡山県連と話した結果、10月に発生した経費は県連で支払うことになっていますが……。11月1日から現在までに発生している家賃や光熱水費については、どうするのかいまだに決まっていません」

 

 本誌は、佐々木氏が訴えたトラブルについて国民民主党に質問状を送付した。国民民主党の言い分はこうだ。まず、広島2区に候補者を立てたことについては、以下の回答を得た。

 

《本年2月に開催した党大会において「比例ブロックにおける獲得議席を最大化するためにも、地域事情等を勘案しつつ党公認内定予定候補者の積極的な擁立を進めます。」との方針を確認しております。特定のブロックにおいて選挙区候補者を1名のみとする取り決めは、上記党大会で確認した方針に明確に反するものでありますから、かかる取り決めがお約束されたとは考えられないと認識しております》

 

 さらに供託金の返還については、《佐々木雄司さんの選挙運動費用については、法令に則り適切に報告するため、同人と岡山県連との間で話し合いが行われていると聞いております》とのみの回答。

 

 支部の取り潰しに関しては、《今般の衆院選に出馬され惜しくも落選されてしまわれた元候補者の方々についての今後の国政選挙その他の選挙での公認等の取扱いについては、党内規則に則り決定されることとなります。なお、仮に次期選挙で公認等を行わない場合、現在の党総支部は暫定総支部とするか廃止するかいずれかの措置がとられることとなります》とその正当性について言及した。

 

 佐々木氏の主張を党は否定したわけだが、佐々木氏はこう反論する。

 

「候補者についての約束について、私は党大会より以前の、2023年8月14日に榛葉賀津也幹事長と、川合孝典幹事長代行の言質を取っています。しかし、党大会の表明後、両名より約束の変更について話は一切ありませんでしたから、この日に交わした両氏との約束は生きていると考えます。選挙の責任を持つ党幹事長と幹事長代行の約束の重みは大きいと思います」

 

 11月20日、榛葉幹事長は、玉木代表の不倫を受けた進退について「いたずらに撤退すればよいということではない」と述べている。その裏では、佐々木氏のように“撤退”を強いられた存在があったのだ。

( SmartFLASH )

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